『ドキュメンタリー映画の創始者たち』

フラハティたちが生み出した「ドキュメンタリー」というジャンル
それはフィクションとは違う映画の'原点'であった。


近年、クローズアップされているドキュメンタリー映画。政治や社会問題のみならず様々なテーマを扱ったドキュメンタリー映画が上映されていますが、原点に立ち返りそもそも「ドキュメンタリー」と定義され始めた時代の監督たちの作品を取り上げました。

世界的にドキュメンタリーの創始者として名高いロバート・フラハティ、ドキュメンタリーという言葉を'発明'したジョン・グリアスンの両名作のほか、日本ドキュメンタリー映画の記念碑的意味合いを持つ石本、亀井両監督の作品が上映されました。

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上映情報 ■■■
上映期間 :2004年12月18日
上映会館 :東京国際フォーラムホールD1
観客動員 : 400人


    『極北のナヌーク』 監督/ロバート・フラハティ
 1922年/アメリカ 50分/白黒/16mm/ サウンド版/日本語字幕あり
 

監督:ロバート・フラハティ

1884年、アメリカ・ミシガン州に生まれる。ドキュメンタリー映画の父と呼ばれ、後世の映像作家たちに多大なる影響を与えた。映画スターやスタジオセット、シナリオがない映画技法を考案。その他の代表作に「アラン」「ルイジアナ物語」がある。

作品:カナダ北東部アンガヴァ半島に暮らすエスキモー一家の生活を一年にわたり描いたドキュメンタリー史上に残る大傑作。厳しい寒さと近代文明のない世界で暮らす人々を捉えたドキュメンタリー。


    『流網船』 監督/ジョン・グリアスン
 1929年/イギリス/40分/白黒サイレント/16mm/日本語字幕なし
 

監督:ジョン・グリアスン

1930年代の「英国ドキュメンタリー映画運動」の先導者であり、フラハティの「モアナ」(1926年)を評して"ドキュメンタリー"という言葉を最初に使用した。その他の代表作にフラハティと共同監督した「産業英国」がある。

作品:世界ドキュメンタリー映画史上、最も有名な作品のひとつ。荒海でニシン漁をする魅力的な人々を「フラハティのように採取し、エイゼンシュテインのように編集した」名作


   
 『雪国』 監督/石本統吉
 1939年/日本/40分/白黒/16mm/日本語
 


監督:石本統吉
戦前に芸術映画社(GES)の中心人物として活躍した。日本映画社の教育映画部解散に伴って日映科学映画製作所を創立し、優れた科学映画の伝統を継承した。「生きているパン」「結核の生態」などの製作を担当。

作品:山形県新庄村(当時)で数カ月に及ぶ長期ロケを敢行して撮影された、日本のドキュメンタリー映画における記念碑的存在。雪国の人々の生態を記録し、雪害対策の重要性を社会問題として提起した。


   
    『戦ふ兵隊 監督/亀井文夫
 1939年/日本/66分/白黒/16mm/日本語
 

監督:亀井文夫
日本のドキュメンタリー映画の基礎を作った。1955年に日本ドキュメントフィルムを設立後、反戦、反核、反差別の立場から社会的問題作を発表し続けた。日中戦争3部作として「上海」「北京」と本作を監督。

作品:亀井文夫の最高の作品であり、日本映画史上において傑作と言われる。陸軍省の依頼により戦意昂揚映画として企画製作され、約5ヶ月間、中国・武漢作戦に従軍した。反戦的な哀感が強すぎるとされ上映禁止となった問題作品。
 

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